日本建築の美しさは屋根によってもたらされます。
緩やかな勾配屋根と、長い庇の出が日本建築の特徴となってきました。
昔の農家の屋根は茅葺きなどの植物が用いられてきました。
町の中でも似たような仕上げの屋根材が用いられてきましたが、一旦火災が起きると次々と延焼してしまいます。
そこで登場したのが瓦屋根です。
瓦は防火性能を有し、隣家の火災の延焼を防いでくれます。
当初は武士階級や裕福な商家の家の屋根に用いられてきた瓦も、明治以降は一般の民家にまで普及してきました。
戦後は金属瓦やカラーベストにシェアーを奪われていますが、瓦の性能は屋根の材料の中でも卓越しています。
特に粘土を焼いてつくる本瓦は耐火性能のほかにも対候性や遮音性、耐久性に優れ、現代でも多くの人々に支持されています。
本瓦は大きく分けると、釉薬を塗る塗り瓦と釉薬を使わないいぶし瓦に分けられます。
いぶし瓦の素材は粘土で、瓦を焼き上げる最後の工程で密封され無酸素状態の時にガスを入れることによって還元反応させます。
そうすることで、表面に炭素の銀色皮膜を作ります。
これがいぶし瓦の燻すの言葉の由来です。